以前紹介した小規模企業共済のコラムに続き、今回も中小企業事業基盤整備機構が運営する「中小企業倒産防止共済」を紹介いたします。
中小企業倒産防止共済とは取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。
あくまでも目的は取引先事業者の倒産による連鎖倒産等を防ぐための制度ですが、この共済金は全額を損金経理できるので、一時的に利益の繰延をするときにはとても有効な手段となります。
しかも、平成23年10月から貸付限度額の引上げ(3,200万円から8,000万円)に伴い、掛金月額の上限の引上げ(8万円から20万円)られたので、より大きく節税ができます。
この制度、月払いのほかに年払いもあるので、決算前であれば緊急での対策も可能です。(前納の手続き必要)最大、
20万円×12カ月分=240万円(1,000分の5の前納減額金あり)
を損金経理することができるので、
仮に税率を30%で計算しますと、
240万円×30%=72万円
の節税効果が生まれるのです。
保険などと一緒で、一回掛けて終わり、というわけにはいきませんが、掛金月額の40倍か積立限度額の800万円に達した場合は掛け止めも可能です。
気になるのは解約した場合ですが、これは掛金の月数が40カ月以上であれば、100%掛け金が返ってきます。しかも解約理由も不問です。
デメリットとしては、
・掛け金の増減は相当の理由がない限りできない。
・40か月未満での解約では全額が返ってこない。
・解約した場合は、全額益金となるので、その際に税金がかかる
などです。
解約時に設備投資や大きい支出をするなどの対策も合わせて考えたいところです。
本来の用途は、取引先事業者が倒産した場合に売掛債権が回収困難となった場合の救済制度です。
そのような事態になった場合には、回収困難となった売掛金債権と前渡金返還請求権の額と、掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額の範囲内で中小機構に請求することができます。
また貸付制度もあり、貸付額は原則、50万円から8,000万円で5万円単位の額となります。
なお、取引期間が1年以上ある主要取引先(売上高の20%以上を占める取引先)が倒産した場合は、回収困難となった売掛金債権等の額に、一定金額が加算されます。
くわしくは中小企業基盤整備機構のHPをご覧ください。