東京地裁 ホテル事業の損益は宗教法人に帰属すると判断(東京高裁に係属中)

個人Xが経営するグループ法人31社の一つに、Xが平成6年に取得した宗教法人A(原告)がありました。

宗教法人Aは、Xグループ内で営むラブホテル事業に関する土地および建物を全て保有していましたが、ラブホテル事業の経営自体は、同じグループ内の別法人で、旅館業経営許可を取得していたB社等が行っていました。

このラブホテル事業に関する損益はB社に帰属するものとして、宗教法人Aの収益事業から除外して申告を行っていました。

これに対し税務当局は、本件ラブホテル事業の損益は宗教法人Aに帰属させるべきであり、それを行わなかったことは「仮装・隠ぺい」にあたるとして法人税更正処分等を行ったことから争われたものです。

この裁判のポイントは「実質所得者課税の原則」にあります。

法人税の納税義務者とは事業から生じた収益の帰属主体で、基本的には法律で判断されますが、その者が単なる名義人であると認められる場合には、実質的にその利益を享受する者に課税するという考え方です。

この原則に基づき、税務当局は本件ラブホテル事業に関する損益は、全ての施設を所有している宗教法人Aに帰属すべしと判断したようです。

これに対して、宗教法人Aは自ら旅館業経営許可を受けておらず、施設を所有しているに過ぎないため経営主体ではないと主張しました。

双方の主張が対立する中、東京地裁は

①ホテル事業の経営方針決定権限は個人Xが掌握していること

②ホテル施設の使用権限を有しているのは宗教法人Aのみであること

③ホテル従業員に係る雇用関係が不明確であること

④(適法・違法とは関係なく)許可を得ていなくとも実際上、旅館業を営むことは可能であること

として、税務当局が行った法人税更正処分及び重加算税賦課決定処分等を適法であると判断しました。

なお、この事案は東京高裁に係属中となっています。


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